第2回となった男子新体操オンライン選手権だが、予想を上回る新型コロナの感染拡大を受け、部活動自体ができない、自校の体育館さえ使えないなどの事態が相次ぎ、23日の大会当日にオンラインでの大会に出場できるのは5校6チームのみとなってしまった。
「出たい」という意思はあったチームは多かっただけに、これは非常に残念な事態だったが、そこで諦めないのが、男子新体操人たちのしぶとさだ。「エキシビションとしての動画での参加はできないか?」と打診すると、「それならばぜひ!」と次々と手が挙がり、なんと11校、3選手が、このオンライン選手権のエキシビションのために動画を提供してくれたのだ。すでに部動が中止になっている学校もあり、新しく撮影することはできなかったチームは、前に撮ってあった練習での通し動画だったりするが、それでも、今回のオンライン選手権で初めて男子新体操を見る人にとっては、これだけ多くの高校生のチームが男子新体操に取り組んでいるということ、さまざまな魅力をもったチームがあるということは、十分に伝わるのではないかと思う。
では、エキシビション出演チームを、北から順に紹介していこう。
① 北海道恵庭南高校(北海道)/インターハイ常連の北海道の強豪。団体競技の強さには定評があるが、このところ大学進学後、個人選手としても開花する卒業生も多く、このチームで培った基礎力が再評価されつつある。長年、チームを率いてきた工藤直人監督は今年が定年で最後のシーズンとなる。そんな工藤監督への思いも込めた演技を見せてくれる。
② 青森山田高校(青森県)/第1回オンライン選手権チャンピオン。連覇も期待されていたが、学校の活動制限により出場断念。常に男子新体操界に変革をもたらし続けた名将・荒川栄前監督からチームを引き継いだ柴田翔平監督は、青森山田高⇒青森大⇒シルク・ドゥ・ソレイユを経ての監督就任。競技経験、エンターテインメント経験豊富な新監督の「ここから始まる挑戦」に注目だ。
③ 酒田南高校(山形県)/5人編制ながらも今年のインターハイ出場を果たした酒田南高校は、インターハイの舞台でも基本に忠実な気持ちのよい体操で好感度の高い演技を見せた。チームを率いる下机祐希監督は、山形県内にジュニア新体操教室も開き、山形県内の男子新体操普及にも務めている。
④ 前橋工業高校(群馬県)/なぜかインターハイでの試技順が早いことが多い前橋工業高校は、今年のインターハイでも試技順1番。緊張感のある中での演技で、倒立にミスが出てしまった。しかし、それ以外はチームの特徴である美しい体操をしっかりと見せながら、ブレイクダンスのような技も取り入れるなど、就任3年目の宮澤一成監督の若さも感じさせる魅力的な演技を見せた。
⑤ 光明学園相模原高校(神奈川県)/関東の伝統校。現在、日本体操協会男子新体操委員会の長を務める山田小太郎氏の母校でもあり、大学や社会人まで息長く競技を続ける選手が多いのが特徴のチーム。今年のインターハイではかなりよい実施で入賞し、11月に行われる全日本選手権への出場も決めている。
⑥ 千葉県立袖ヶ浦高校(千葉県)/今年は久しぶりにインターハイ出場。学校にはフロアマットがなく、普段から通し練習はできないという環境ながら、新体操部の歴史は長く、過去には全日本チャンピオンになった斉藤剛大(現在・青森大学監督)や、現監督の畠山可夢など全国レベルで活躍する選手も輩出している。今回のエキシビション演技は、フロアマットのない袖ヶ浦ならではの工夫を凝らしたものとなっている。
⑦ 大垣共立銀行OKB体操クラブ(岐阜県)/済美高校に在籍する選手たちのチームで、5人編制ながら今年のインターハイにも出場。インターハイ個人を制した岩田隼も擁する力のあるチームで5人でも演技の迫力は十分。タンブリングの強さだけでなく、真っすぐな美しい線も見せられるチームだ。
⑧ 京都市立紫野高校(京都府)/「今年の紫野は強い」との前評判は高かったが、京都府大会で演技中にキャプテンが負傷。インターハイ出場を逃し涙をのんだ。しかし、その1週間後に行われた近畿ブロック大会では見事優勝。キャプテンが怪我で出場できないというピンチにもかかわらず、代替えで入ったメンバーの頑張りでミラクルを起こしたチームだ。
⑨ 坂出工業高校(香川県)/2019年全日本チャンピオン・川東拓斗が今年から監督に就任。新監督のインターハイ初舞台は、フロアを広く使ったダイナミックな演技でチームの良さは発揮できていたが、組みなどで大きなミスが出て苦いデビュー戦となった。来年は地元開催のインターハイも控え、ここからの伸びにはおおいに期待できそうだ。
⑩ 芦北高校(熊本県)/昨年は7月に豪雨災害に見舞われ、体育館も使用できない状態だった中、オンライン選手権への出場で再スタートを切ることができたチーム。今年は出来田和哉監督が就任し、選手たちの「勝ちたい気持ち」を尊重した指導で、インターハイ4位まで一気に駆け上った。昨年のオンライン選手権時の順位は10位。それでも「出られただけよかった」と喜んでいたチームが大化けした姿をエキシビションで披露する。
⑪ 小林秀峰高校(宮崎県)/小林秀峰高校も今年から監督が日高祐樹に正式に代わった。同校OBで小林秀峰が最後にインターハイ団体で優勝したときのキャプテン。さらには青森大学でも団体選手として負け知らずの日高だが、一時期に比べ選手数も減った小林秀峰は今、苦境にある。しかし、伝統校であり、地元への浸透度も高い小林秀峰がこのまま終わるはずはない。このエキシビション演技でも「強い秀峰」復活の手ごたえをつかみたい。
団体演技の他、今年のインターハイTOP3の個人選手もエキシビションで参加する。
① 岩田隼(済美高校/岐阜県)
② 野村壮吾(埼玉栄高校/埼玉県)
③ 石橋知也(神埼清明高校/佐賀県)
今年の個人上位選手は、全員タンブリングが強く、技術も高い。かなり見ごたえのある演技を見せてくれるはずだ。
さらに、スペシャルゲストとして、高校生たちの憧れであり目標である「青森大学」も出演。全日本インカレ20連覇を決めた、今年の団体作品を披露するというから、これは見逃せない!
いよいよ、明日に放送が迫った「第2回男子新体操オンライン選手権」
2代目チャンピオンの決まる競技はもちろんのこと、男子新体操の魅力がたっぷりつまったエキシビションまでどうかたっぷり3時間! ご堪能ください。