スポーツ 男子新体操全国オンライン選手権 2022,12,07

2022オンライン競技会 選手紹介(オンライン)

主会場の熱気に勝るとも劣らないのが、この競技会の肝とも言えるオンライン中継だ。今年は、全国8か所をオンラインで繋ぎ、日本トップレベルの選手たちやSNSで話題沸騰となった「可愛すぎる男子新体操選手」までが次々に登場する。

〇大村光星&尾上達哉(花園大学)
昨年は全日本インカレで大乱調、全日本選手権出場を逃すピンチにも陥った大村光星選手は、「学生最後の年」となった今年は、見違えるような安定感を身につけていた。そして、全日本インカレでは優勝というまさに有終の美を飾る活躍を見せた。肝心なところでのミス、これからというときの怪我など、順風満帆というわけではなかった競技人生だったが、最後の年に見せてくれた「体操の美しさと手具操作の巧みさが見事に曲を表現するハイレベルな演技」は、なかなか結果に恵まれることがなくても、高いところを目指し、妥協せずに努力を重ねてきた大村選手だからこそ見せられる極上品だった。
全日本インカレでは最後まで先輩である大村と優勝を争った尾上達哉選手は、男子新体操選手の中でも突出した表現力の持ち主で人気を博している。迫力とスピード感あふれる一方で子どものころにクラッシックバレエをやっていたという素地があるからか、動きの端々から漂う品格もこの選手を「アスリート」というよりは「アーチスト」と感じさせてくれる。先輩である大村選手の今年の活躍が、尾上選手にはおおいに刺激になっているに違いない。4年生になる来年に期待したい選手だ。

〇岡山県立井原高校
2019、2021と2年越しでのインターハイ団体連覇を成し遂げた井原高校は、今年のインターハイに3連覇がかかっていた。が、退会直前にレギュラー選手の怪我があり、本番は5人で演技せざるを得なくなり、3連覇の夢はついえた。しかし、たとえ5人編成でも「井原ブランド」ともいうべきその美しく、独特な世界観を見せたその演技は、賞賛を集め、大会シーズンを終えた今も、各地の演技会などに引っ張りだこだ。
現在は、6人編成での演技ができるチームコンディションとなり、今回も6人で「インターハイ3連覇を狙えるはずだった演技」を披露。まだ井原高校の演技を見たことがない人達にもぜひ、この「破格の美しさ」を堪能してほしい。

〇宮城県名取高校
現役引退後、エンターテインメントの世界で活躍している男子新体操OBは少なくないが、TIK TOKERとして抜群の人気を誇るのが「佐藤三兄弟」。その奇跡の三つ子を輩出した宮城県名取高校は、全国での上位争いにも絡むだけの実力のあるチームだが、今年は大会ではなかなか結果を出すことができなかった。
それでも、観客に訴える力を持った名取高校の演技は、今年も人気は抜群。演技会などでは上位チームにひけをとらない喝采を浴びている。今回も、メンバーが足りずOB1名を助っ人に招いてとの演技となるが、それができるのも卒業後もパフォーマーや指導者として男子新体操に関わり続けるOBが多い名取ならではだ。

〇bakuten新体操クラブ
ある意味、今年の男子新体操界の「黒船」となったのが、このbakuten新体操クラブだ。愛知県から始まり、現在全国展開中のバク転パーソナル教室の講師たちで結成した社会人チームだが、そのメンバーがえげつない。ほとんどが全国大会優勝経験ありという猛者たちで、デビュー戦にもかかわらず当然のごとく社会人大会で優勝。全日本選手権でも見事、決勝進出を果たした。
しかし、彼らは、その実力だけで「黒船」なのではない。決勝進出した全日本選手権では人気アニメの劇中演技を完コピして演じてみせ、男子新体操ファンのみならずアニメファンも歓喜させ、おおいにアピールした。さらには、女子の元新体操選手1名をメンバーに入れて「男子新体操団体演技」をするというMIX団体を9月の岐阜新体操フェスタで披露し、まさに「男子新体操の新しい扉」を開いて見せたのだ。先人がやらなかったことにも果敢に挑んでいく彼らの挑戦をぜひ見届けてほしい。

〇ソルクス体操クラブ
2年前の新体操フェスタ岐阜に登場したその選手を見て、観客は目を丸くした。小さい、あまりにも小さな男の子がジュニア団体のメンバーとしてフロアに立っていたのだ。当時、やっと3歳になったばかりだった彼は、その幼さ、小ささだけでもインパクト十分だったが、動き始めると、会場はどよめいた。うまいのだ。ちゃんと男子新体操の動きが出来ている。しかも、団体演技の中にちゃんと溶け込み、体の大きさ軽く倍以上あるお兄さんたちにもついていき、団体の同調性を損ねることがなかったのだ。
兵庫県でソルクス体操クラブを率いる谷本竜也氏は、男子新体操の名門・井原高校⇒花園大学で競技を続け、卒業後はシルク・ドゥ・ソレイユでアーチストとして活躍したのち、日本に帰ってきて男子新体操の指導者となった。ソルクス体操クラブは、男子新体操の歴史はまだ浅いが、ここ数年急激に力をつけ、団体では全日本ジュニアにも駒を進めるようになってきている注目チームだ。そして、一目見れば誰もが可愛い! と思わずにはいられない「5歳(もう5歳になりました!)の男子新体操選手」、この谷本氏の息子さんなのだ。今回はお兄さんたちのジュニア団体の中に入り、「5歳でもここまでできる!」その身体能力と同時に天使のような可愛らしさを見せつけてくれるはずだ。

〇神埼ジュニア新体操クラブ
現在の青森大学、神埼清明高校は、どちらもまぎれもなく男子新体操のトップチーおムだが、その多くの選手たちを輩出しているのが神埼ジュニア新体操クラブだ。現在の大学4年生たちが小学生のときに、本格的に活動を始めた神埼ジュニア新体操クラブは、あれよあれよという間にトップジュニアになり、高校でもインターハイ連覇など輝かしい実績を収めてきた。
彼らの強みは、なんと言ってもそのタンブリング力。はじめからトランポリンやタンブリングマット、スプリングマットのある恵まれた環境で練習している彼らにはタンブリングに対する怖れがない。どの子も競うように、そして楽しそうに次々と高難度のタンブリングに挑戦していく。そんな神埼ジュニアの強さの源を今回の中継では見せてくれそうだ。

〇堀孝輔(高田RG)&東本侑也(同志社大学)
三重県高田高校からの中継に登場するのは、この高校で教鞭をとりながら今年の全日本選手権で連覇を果たした社会人選手の堀孝輔選手だ。堀選手は、ジュニア~高校~大学と常にトップ争いに加わってくる名選手ではあったが、全国大会での優勝は高2のときのインターハイだけだった。それだけ、多くのライバルたちに囲まれて切磋琢磨してきた選手であり、それゆえに、「自分の勝負の仕方」をとことん突き詰めてきた選手だった。手具操作の巧緻性が高く、どんどん高難度な操作を入れ、それを正確に決めていく。そんな堀選手の演技が、手具操作の難易度が点数にも反映しやすくなった今年のルール改正につながったとも言える。社会人選手としての3連覇という偉業も彼なら来年成し遂げてくれるのではないかと思わせるレジェンドだ。
今年の全日本選手権では堀選手に次ぐ2位に入った東本選手は、堀選手の母校である同志社大学の2年生だ。新体操を続ける環境としては決して恵まれているわけではない同志社を高校時代から頭角を現していた東本選手が選んだのは、堀孝輔という先輩が「同志社でも競技力を上げていける」ということを示したからに違いない。堀孝輔でも成し遂げられなかった大学日本一を、残り2年で絶対に獲る! そんな強い思いを胸に秘める頼もしい後輩の東本は、堀の前でどんな演技を披露するのだろうか。

〇田窪莉久&遠藤那央斗(青森大学)
青森大学からは個人選手2人がオンラインで登場する。今年の全日本選手権で初めての金メダル(種目別クラブ)を獲得した田窪選手は、鹿児島県出身。ジュニア時代からそのポテンシャルの高さでは注目される選手だったが、高校までは目立った成績は残せていない。それが青森大学に進学し一気に才能が開花。多くの才能が集まってくる青森大学の中でも抜群の身体能力を強みに、一目置かれる存在となっている。
名取高校出身の遠藤選手は、ジュニア~高校から目立を引く存在で、全国大会でも表彰台のりも経験している。彼の持ち味はなんと言ってもその演技の「おしゃれ感」だ。4種目それぞれで違う色を見せ、それがどれも本人の個性によくマッチしており、多くの人を惹きつける。二人はともに大学3年生。同期には青森大学にも他にも有力選手が多く、来年に向けて静かな闘志を燃やしている時期だろう。「来年こそは頂点!」を目指す演技に期待だ。

Share

News

CATEGORY

LIVE-Link チャンネル登録はこちらから