詳しすぎるぞ!出場チーム紹介!!福岡舞鶴高校(福岡県)
現在、福岡舞鶴の監督を務める中村優太は、福岡舞鶴のOBだが、在学中には団体でのインターハイ出場は果たせなかった。福岡大学に進学してからは、インターハイ優勝経験もある同期とともに団体選手として全日本インカレなどで活躍し、母校の監督になった中村にとって、団体でのインターハイ出場は悲願だった。
が、若い監督だけにその情熱がうまく生徒たちには伝わらず空回りする時期もあったというが、「絶対にインターハイ出場!」という熱い思いを3年かけて熟成してきた選手たちが揃った2017年、ついにその夢は実現した。※参考記事(2017全国高校総体に向けて)
全国的に人気の高い鹿児島実業高校を退けての出場権獲得は、ともすればヒールにもなりかねない役回りだったが、この年の福岡舞鶴には、そうはさせない懸命さがあった。競技人口の少ない男子新体操では、インターハイも常連校に占められがちだ。それゆえ、「インターハイになんとしても出たい!」という熱さのあるチームは案外少ない。「出場は当然。その先の順位が問題」になりがちなのだ。
そんな中で、2017年の福岡舞鶴の熱さは新鮮だった。練習でも、とにかく熱く、本番の演技でもその熱をそのままぶつけ、壁をぶち破った。こんなニューフェイスがもっとたくさん出てくれば男子新体操はもっともっと面白くなるだろうと感じさせてくれたチームだった。
しかし、2018年になると、主力選手が卒業した福岡舞鶴は、鹿児島実業の懸命の巻き返しの前に九州ブロック大会を勝ち抜けず。2019年は再び九州ブロック4位となり2回目のインターハイ出場を果たした。
着実に力はつけてきているチームだ。監督の中村の経験値も上がってきている。が、中村は「今の選手たちには、2017年のような熱が感じられない」という。その熱を持たせることのできない自分の指導力にも不足を感じている。
「初めて」を目指しているときの高揚感は、2度目からはなくなる。それは仕方のないことだ。誰もが通る道とも言える。そこを過ぎた先に、「出るのは当たり前。目指すのはその先、その上」という世界が見えてくる。福岡舞鶴はまだそのステージの入口に立ったばかりのチームだ。しかし、併設中学にも男子新体操部があり、福岡大学に練習しに行く機会が多いなど、この先どんどん力をつけていく可能性は秘めている。強豪校の多い九州にいると、トップ3の壁の厚さを感じることは多いだろうが、それだけ切磋琢磨でき、刺激を受けられる環境があることは強みでもある。
普段の練習ではほとんどスプリングマットが使えないため、タンブリングの強化には課題が残るが、「美しい徒手」にこだわる福岡大学卒の中村監督仕込みの線の美しさは感じさせる選手が多い。これから、が楽しみなチームと言えるだろう。
「新体操沼はまり歴20年ライターが見る 男子新体操オンライン選手権2020」