オンラインで日本全国を繋ぐ! 男子新体操オンライン選手権に集った勇者たち
本当ならば、今日から新体操のインターハイ競技が始まるはずだった。
今日は熱気あふれる公式練習や開会式などが行われていたはずで、会場となる高崎アリーナ周辺には「高校総体」ののぼりが立ち並び、「新体操の町」高崎はかなりの盛り上がりをみせていただろう。
それが。
新型コロナ感染拡大で何もかもなくなった。
毎年、当たり前のように繰り返されてきた春から夏にかけての「インターハイを目指して、あるいはインターハイでのよりよい結果を目指しての熱い日々」を、今年の高校生たちは経験できなかった。負ける悔しさも、勝ち抜いたときの歓喜も味わえなかった。
そんな諦め混じりの失望の中で、「男子新体操オンライン選手権」の開催が発表された。
この大会に出て、仮に好成績を収めたとしても、なにがあるわけではない。
全日本出場権や来年の高校選抜の出場枠にも関係ない。もしかしたら、出場メリットは少ない大会、なのかもしれない。今年は十分な練習を積めていないチームが多いことを思えば、無理して出場する必要はないと判断するチームもあるだろう。
果たして、どのくらいのチームがエントリーしてくるか? といささかの不安はあったがふたを開けてみれば、高校生に関しては23チームがエントリー。それも、毎年上位に絡んでくる有力チームのほとんどが出てくることがわかった。
「with コロナ」がしきりに言われているこれからの時代。
「オンライン選手権」には大きな可能性があること、を多くの人が感じていたのだろうと思う。
大きなアリーナで満員の観客の前で演技をする。
できることならそれが一番いい。そんなことは誰もがわかっている。
が、それができないならば、それが叶わないならば、全てをあきらめるのか?
否。
男子新体操をはじめ、女子新体操や体操競技、チア、フィギュアスケート、アーティスティックスイミングなど、対戦型ではない競技には、「オンライン」という可能性がある。
オンラインで観ても感動できる演技、を目指せばよい。
オンラインでも、いつもの大会と同じだけの緊張感をもち、思いを込めて演技すればよい。
今回、エントリーしたチームは、自分たちにメリットがあるか以前に、採点競技のもつ可能性を証明してみせようという気概をもったチームなのだと思う。
そんな「未来を切り拓く勇者たち」のことを、今まで新体操には興味がなかった人たちにも知ってもらい、よりオンライン選手権を楽しんでもらえるように、紹介していく。
まずは、高校生を南から。
「新体操沼はまり歴20年ライターが見る 男子新体操オンライン選手権2020」