男子新体操オンライン選手権まであと3日！こちらも見逃せない！ ジュニア団体の熱き戦い
いよいよ今週末に迫ってきた、史上初の開催となる「男子新体操オンライン選手権」。
なんと言っても注目なのは、13日（日）に行われる高校生部門。本来ならインターハイという高校生最大の大会にぶつけただろう高校生たちのエネルギーがさく裂する熱戦が期待されている。
が、12日（土）に行われるジュニア部門に関しては、もしかして「前座みたいなもの？」「ジュニア選手ではたいして迫力ある演技は見られないんでしょ？」なんて軽んじている人がいるのではないだろうか？ 「男子新体操のオンライン選手権には興味あるけど、日曜だけ見れば十分よね？」そんな風に考えているアナタ、それは大きな間違いだ！
たしかに、ジュニアより高校生、高校生より大学生のほうがパワーやスピートは増し、熟練度も上がる。それだけ迫力のある演技を見られる、というのは確かだ。だが、ジュニアの演技にはジュニアならではの見どころがある！ それは、ある意味、高校生や大学生の演技では味わえない魅力に満ちているとも言えるのだ。
しかも！ 今回のオンライン選手権決勝進出チーム、かなりハイレベルだ。なんと言っても、昨年（2019年度）全日本ジュニアのチャンピオンチーム・神埼ジュニア新体操クラブ（佐賀県）が出る。神埼ジュニアは、2016～2017年に全日本ジュニア連覇、2018年には惜しくも2位となり3連覇こそは逃したが、2019年には王座奪還！ まさに男子新体操ジュニア界の「TOP of TOP」なのだ。
神埼ジュニアは、そのタンブリング力と柔軟性がずば抜けている。男子選手とは思えないような柔軟性を見せつけたかと思えば、忍者さながらにフロアいっぱいにタンブリングを展開する。しかも、その高さとスピードは高校生にも劣らないレベルだ。神埼ジュニアから多くの選手が進学する神埼清明高校も超高校級のタンブリングを誇る強豪校だが、「さもありなん」と思わせる総合力の高いスーパージュニアたち、それが神埼ジュニア新体操クラブだ。
オンライン選手権予選ももちろんトップ通過。今年は全日本ジュニアが開催されないため、連覇達成は来年に持ち越しになっているが、「2020年もやはり神埼がジュニア王者だった」と言わせるために、彼らの演技はきっと容赦ない。
この神埼ジュニアに迫る力をもっているのが、予選3位通過の水俣ジュニア新体操クラブ（熊本県）だ。この水俣ジュニアは、2019年全日本ジュニアで団体3位。神埼ジュニアと共にメダルを獲得している。今年のキャプテンを務める佐竹彰竜は、「昨年全日本ジュニアで３位になったあと、先輩が2人抜けて自分がキャプテンになり、このチームをよりよい方に変えていこうと自分にできる精一杯をやってきた。しかし、新型コロナのため、その成果を結果として残すことができないまま中３の1年間が終わってしまうことは悔しいと思っていた。オンライン選手権は、こんなときだからこそやれることがある、そこで全力を出すいいチャンスだと思う。決勝では完璧な演技をして、自分たちが“よかった”と思って終わりたい」と意気込む。
熊本県内では、隣接する芦北町にもジュニアの強豪・JKA芦北ジュニア新体操クラブがあるため、一時期は、存続の危機にもあった水俣ジュニアだが、男子新体操の名門・水俣高校OBたちの献身的な指導のもと、再び全国でトップ争いができるチームに育ってきた。空気を切り裂くような鋭い腕の動き、表情豊かな上半身の動きが魅力的で、ジュニアにしてはかなり大人な雰囲気の水俣ジュニアの演技は、神埼ジュニアにどこまで迫れるか注目したい。
予選2位通過と、この2チームの間に割って入ったのが国士舘ジュニアRG（東京都）だ。国士舘ジュニアRGも昨年の全日本ジュニアに出場しているが、順位は4位。神埼、水俣に迫る勢いのあるチームだ。かねてより、その基本徒手の美しさ、線の美しさは高く評価されてきていたが、いかんせん小柄で華奢な印象が拭えなかった。しかし、昨年は最高学年でも中学2年生、小学生も含むという若いチームで、本番では鹿倒立で2人がミスしての4位というところまで上がってきた。構成点が従来の半分というオンライン選手権ならではのルールが、実施の美しさにアドバンテージのある国士舘ジュニアには、追い風になる可能性もある。王者・神埼相手に大金星を上げることができるか？ 要注目だ。
ジュニア予選上位３チームだけでもこの熱さ！ 「ジュニアじゃね～」なんて思い込みは捨てて、これは12日（土）、見るしかないでしょ！
将来は間違いなく、男子新体操界を背負うスター候補選手たちの、今の煌めきを見られるジュニア部門、お見逃しなく～
「新体操沼はまり歴20年ライターが見る 男子新体操オンライン選手権2020」
