スポーツ 男子新体操全国オンライン選手権 2021,09,11

【コラム】2020男子新体操オンライン選手権プレイバック~初代王者は青森山田!

2020年に開催された「第1回男子新体操オンライン選手権」の予選には、高校生22チームが参加した。上位20チームまでが決勝進出となり、決勝当日は、予選順位下位から順に演技を行った。

予選用の動画は8月中旬が締め切りだったため、予選動画を撮影した日から決勝まで1か月近くあった。コロナ禍と猛暑で練習環境は良いとは言えない時期ではあったが、果たしてその1か月でどこまで完成度を上げてこれたか、が勝負の分かれ目だった。

予選通過順位が16位だったため、決勝には4番目に登場した芦北(熊本県)は、その1か月をもっとも有効に活用できたチームだった。7月4日の豪雨災害で学校が被災し、男子新体操のフロアマットも泥にまみれた芦北高校は、予選動画は撮影するのがやっとだった。マットのない一般教室で撮影した予選での演技には、タンブリングも最低限しか入っておらず彼らの本来の力は出せていなかった。予選落ちも覚悟していたというがなんとか16位で予選通過し、そこからの1か月は隣接する水俣高校でマットを借りての練習もし、本番も水俣高校の体育館で演技をした。結果、予選での得点を3点以上上回り、暫定首位。試技順10番の島田工業(静岡県)に抜かれるまでは首位をキープした。最終順位は10位となったが、ラスト1か月の伸びには目を見張るものがあった。

また、予選順位1~6位だった青森山田(青森県)、小林秀峰(宮崎県)、盛岡市立(岩手県)、神埼清明(佐賀県)、宮城名取(宮城県)、前橋工業(群馬県)の演技は、それがオンラインだということを忘れさせるほどの迫力があった。とくに前橋工業は、予選得点を1点以上上回る完成度の美しい演技を見せ、神埼清明も予選得点に0.7625を上積みした得点をマーク。予選の上位3チームを残した時点で首位に躍り出た。

盛岡市立、小林秀峰は、予選からあまり得点を伸ばすことができず神埼が首位のままで、予選1位通過の青森山田の演技を迎えたが、ここで青森山田は、出場チーム中唯一の13点台にのせる13.0875をたたき出し神埼清明を突き放した。(注:オンライン選手権は、構成5点+実施10点=15点満点という特別ルールで行われた)

青森山田は、コロナ禍において早い時点からオンラインには積極的に取り組んできたチームで、すでに動画投稿によるオンライン大会やオンライン演技会にも出場経験があり、いわばオンライン化を牽引してきた存在だった。

「男子新体操の魅力はオンラインでも伝わる!」を実証する意欲にもっとも溢れていたチームが、「男子新体操オンライン選手権」の初代王者となったのだ。

また、審判による採点とは別に設けられた「視聴者賞」には、競技では18位だった鹿児島実業(鹿児島県)が視聴者投票によって選出された。鹿児島実業は、例年、インターハイで新作発表をしていたが、この年は、このオンライン選手権のために新作演技を用意し初披露。そのエンターテインメント性が視聴者に高く支持された結果だった。

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